勝利のラクロスコーチング

ラクロスコーチングのサクセスストーリー! (になればいいなぁ)

【メソッド紹介】弱小チームから脱却する方法

指導者の需要が高まっている

最近SNSでコーチ募集の投稿を目にすることが多くなりました。またラクロス協会も指導者育成に力を入れ、指導者のライセンス制度を取り入れています。(こちらについては賛否あるようですが…)

こんな流れの中で、僕の周りでもコーチをする人が増えています。現役時代の同期や先輩後輩、そして僕の教え子にいたるまでたくさんの人が指導者として活躍しています。

指導者が増えることでラクロスの競技レベルが上がるのはとてもいいことです。しかし、最近ちょっと問題だなと思っていることがあります。

中堅レベル以上じゃないとコーチしない

僕が問題だと思っているのは、ほとんどのコーチが中堅レベル以上のチームしか教えないということです。その結果、各地区のリーグ戦での順位変動が起こりにくく、強いチームは強いまま、弱いチームも弱いままでとてもつまらないリーグ戦になっています。

中堅レベル以上じゃないと教えないコーチが多い理由としては、

  • 教えたいレベルと現在のチームレベルに差があり過ぎる
  • 弱小だと人数が少なすぎて教え甲斐がない
  • ある程度組織が出来上がっているチームだと取っ掛かりやすい

というのが挙げられると思います。

コーチをやるなら、それなりに成果をあげたいと思うのは当然です。そして、コーチをやる上では自分なりの指導方法など持っている人も多いはずです。それを体現できるチームを選ぶとなると、自然と中堅〜強豪レベルのチームになってしまいます。

このような流れがあるために、弱小チームにはコーチが集まりにくいという現状があります。

弱小チームのレベル

ここまで弱小、中堅、強豪と3つの分類でレベル分けしてきましたが、僕が「弱小」と呼ぶレベルは、

  • 関東3部以下
  • その他地区2部以下

だいたいこの辺りのレベルです。

*1

東北地区のレベル感

ちなみに東北地区のレベルを説明すると、1位の東北大がだいたい関東2部の上位チームくらいのレベルで、東北地区では頭一つ抜けています。

順位としては、

  1. 東北大(中堅)
  2. 岩手大(中堅)
  3. 新潟大(中堅)
  4. 東北学院大(弱小)
  5. 東北福祉大(弱小)
  6. 日大工学部(弱小)
  7. 福島大(弱小)

という並びです。*2

弱小ランクと評価している大学の関係者の皆さんすみません・・・

 

上位3チームはほぼ固定されていてFINAL3常連。

次いで4位東北学院大学ですが、現在は弱小レベルですが、最近法政大出身の鈴木コーチが就任したことでメキメキと実力をつけています。2019年度からは中堅レベルまで上がってくると予想されます。 

5位以下は混戦です。人数的な事情でリーグ戦参加が危ぶまれているチームもあります。

 

実力的な話をすると、この東北リーグ戦においては、弱小チームが中堅チームとまともにやり合うと1試合で20点差以上はつけられます。これくらい大きな差が弱小と中堅の間にはあります。

20点差以上つけられる試合というのは見ている側もやっている側も面白くありません。このような試合を毎年繰り返すくらいなら、まずは2部制にするなどの対策を講じてもいいのではないかと思っています。

弱小チームにはコーチがいないのか? 

先ほど弱小チームにはコーチが集まりにくいという現状を伝えましたが、実際は弱小チームにコーチがいないわけではありません。コーチはいるのです。しかし強くなっていない。

その理由は、そのコーチの伝えることがチームを強くすることに繋がっていないからです。

つまり、強くしようと思って指導していることがまったくの的外れなのです。

弱小チームのコーチはOB

弱小チームのコーチがそのチームのOBというのは弱小あるあるではないでしょうか?

多くの場合、このケースで強くなるチームはほとんどありません。

チームの中によほどの変革者がいない限り弱小のままです。

誤解と炎上を恐れず言わせていただくと、

所詮、弱小チームからは弱小コーチしか生まれません

なぜなら、弱小からの脱却のためには、これまでのラクロス環境を180度変えるような大改革が必要だからです。弱小環境しか知らない人がコーチに就いたところで、それまでの環境を一変させるような行動力を起こせるとは思えないのです。

 

だからこそ今回の記事を書きました。

 

今回紹介するメソッドを実践すれば、このような弱小チームから脱却できるはずです。うまくいけば4年以内で中堅上位レベルまで成長することもできます。

何より岩手大学も、僕がコーチになる前は東北地区内で下から3番目の弱小チームでした。そこから4年で東北地区優勝まで高めることができたのはこの方法を実践したからです。

【メソッド0】はじめに(大原則)

ここからは具体的にどのようなことをするかというメソッドについて説明していきます。

まず大原則ですが、「ラクロスの技術」はほぼ教えません。

断言できますが、日本代表レベルの選手がコーチしようが、どんな強豪チームのOBがコーチしようが、この大原則を考えられないコーチは弱小チームを強くすることはできません。

弱小チームが抱えている問題は「ラクロスの技術」ではないのです。

 

やるべきことは、

ラクロスをするための環境づくり

です。

 

この環境づくりができていない状態でラクロスの技術や戦術システムをいくら教えてもチームには響かないし上達もしません。コーチをする人の多くはこの「ラクロス技術」や「戦術システム」をメインに教えがちです。中堅以上ならこれも良いでしょう。しかし弱小ではこれが空回りしてしまうのでコーチとしてのやりがいを感じられません。だからほとんどのコーチは中堅以上のチームに流れてしまうのです。

 

弱小チームをコーチすることになったら、ラクロスの技術を教えるのは二の次にしましょう。

弱小チームがずっと弱いのはラクロスが下手だからではありません。

勝つための環境を知らないからです。

弱小から抜け出せない理由はたったそれだけです。

それをコーチが教えてあげるだけです。

 

というわけで、これから紹介するメソッドは単純にラクロスの環境づくりです。

最低限の環境づくりを順を追って具体的に紹介していきます。

【メソッド1】メンタリティを変える

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弱小チームのコーチに就いたら一番最初にやらなければいけないことは、

弱小メンタリティを変える

ことです。

 

弱小チームは負けまくっていることが多いので、負け癖がチームにこびりついています。この負け癖を取り除くことから始めるのです。

ちなみに負け癖がこびりついているチームには以下のような特徴が挙げられます。

  • 優勝より下の目標を設定する(「FINAL3進出」など)
  • 「チームワークが大事」感を前面に出す
  • 道具が汚い(クロスや防具の手入れをしない)

 これらの特徴は

勝利へのこだわりがない

という心理から生まれています。

 

勝利にこだわらないから現実的な目標設定をするし、勝てないからそれ以外のものに価値を置いてチームをまとめようとします。そして、勝利のために最も身近な道具の手入れを怠っているので、技術とは関係ないミスが目立ちます。クロスを家に持ち帰らずに部室等にしまっているような選手は絶対に大成しないし、そんな選手を試合に出すようなチームは絶対に勝てません。

 

というわけで、負け癖を取り除いてメンタリティを変えるということは即ち

勝ちにこだわらせる

環境をつくるということです。

 

では具体的にどうするかを説明します。

 

まず、コーチをやることになったら

「勝ちたいか楽しみたいか選んでくれ」

と質問してください。

 

さらに追加で以下のように補足してください。

「勝ちたい」を選んだらコーチをやる。その代わりコーチが決めたことは1年間絶対に守ると約束すること。

「楽しみたい」を選んだらラクロス技術は教えずダイエットのために来る。だから試合ではコーチボックスには入らないしチーム登録もしない。

チーム全員でよーーく考えて必ずどちらかひとつを選んでくれ。

 

以上を伝え、部員達に考えさせて回答させてください。

部員全員の総意でどちらかを選ばせてください。

 

※ちなみに、「勝ちたい」と「楽しみたい」は相反するものです。特に弱小チームの場合は。

最上級のメンタリティだと「勝ちたい」と「楽しみたい」が相互作用して良い循環を生む場合がありますが、弱小チームではそんなことは起こりえません。

なぜなら勝つ方法を知らないからです。勝ち方を知らない「勝ちたい」という気持ちはただの実現不可能な夢です。勝てたらいいなぁという夢の中にいるだけの脆いメンタリティにしかならないのです。

 

ちなみにこの2択を迫るやり方ですが、コーチを欲しがっているチームはどのチームも十中八九「勝ちたい」を選ぶはずです。(いやらしいですが)

ないとは思いますが、「楽しみたい」を選んだり「どっちも」と回答するようなチームにはコーチとしては関われないので、別の形で関わることを勧めます。

 

そして、チームが「勝ちたい」を選んだら、

「決めてくれたからにはこれまでの最高成績を残すことを約束する」

と全員に宣言してください。

 

これでチームの逃げ道を消すことができます。(コーチもですが)

勝つためにコーチの言うことに従って取り組むしかなくなります。

 

いきなりで厳しいですが、そうでもしないと弱小チームの根底にある甘さや負け癖は取り除くことができないのです。

 

ちなみにこの方法を使えば、

コーチの言うことに対して何か不満や反発があったとしても、

「"勝ちたい"を選び、コーチの決めたことは絶対従う」と決めたのは部員達

なので、

「いやいや、そもそも決めたのは君たちでしょ?」

と言えば絶対に反論できません。不満はあっても反論はできません。

これが大事です。

納得せざるを得ない状況に追い込まなければいけません。

 

少し話がそれますが、

僕が思うに、コーチをやる上で一番危険なのは部員達から不満に思われることではなく、納得されないことです。どんな強引な方法でも、納得させられればOKです。

そのためには理論的に追い詰めていくしかありません。

 

話を戻してまとめに入ります。

 

このように、不満はあっても反論できない環境をつくり、強引にメンタリティを高め、

勝つためにラクロスをする

ということをチームの総意として決めてしまう。

 

これがメソッド①の「メンタリティを変える」ということです。

 

これができた後はメソッド②に移っていきます。

【メソッド2】ルールを作る

 勝利にこだわるメンタリティができたら、次はルールを作っていきます。

これはメソッド①でやった2択の直後にやってしまいます。

 

作るルールは以下の通りです。

  1. 遅刻・欠席を許さず罰則を設けること
  2. 練習を週5日にすること
  3. クロスは必ず家に持ち帰ること
  4. メンター制度を取り入れること
  5. 練習試合を増やすこと

*3

この5つをルール化して徹底させてください。

細かいことは必要ありません。

この5つをそのまま実践するだけです。

 

なぜこの5つをやるのかというと、

この5つは強豪チームのルールそっくりそのままだからです。

強豪の中のさらに上位のチームはもっと細かいルールを設定しているところもありますが(練習着の色を毎回統一など)、弱小チームがすぐにでも実践できて意識できる内容はこの5つです。

 

要は、強豪チームの練習環境やルールを真似ることが大切なのです。

それが当たり前になればもっと高いレベルの要求ができるし伝わりやすくなります。

【メソッド3】練習量を増やす

 ルールの中に「2.練習を週5日にすること」というものがありますが、

これに加えて

練習時間自主練時間を増やす

ようにチームに働きかけてください。

とにかく隙間の時間は練習するように言い続けてください。

ポイントは

「ラクロスは経験値」

という言葉を使いまくることです。

 

みんなゼロスタートで始めて4年間という同じ時間を費やすなら、当然やった量が多い方が上達します。

当たり前のことですが意外と忘れがちです。

【メソッド4】新歓を成功させる

 新歓はコーチも積極的に関わってください。

僕の場合は一緒に声をかけて勧誘しましたしパンフ制作も手伝いました。

その上で新歓を成功させるためには、体験会をいかに良いものにするかが重要だと思います。

体験会をして1年生を褒めまくる

これが黄金ルートです。

 

ただ、こればかりは地域性や大学の新歓ルールなどもあると思うので、

近隣の大学の成功事例や別のサークルの成功事例を聞きながら取り入れるのもいいと思います。

 

ちなみに新歓の成功とは、いい人材を確保することではなく、

どれだけたくさん人数を入れるか

です。

 

お金も時間もかけてとにかくがむしゃらに勧誘してください。

20人入ったら大成功です。


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【メソッド5】1年生中心に指導する

ラクロスの技術指導は1年生を中心に行ってください。

つまり、全体練習では1年生の練習に付きっきりで、上級生の練習はたまに見る程度にします。

意図としては、

「1年生のメンタリティを高く保たせる」

ことにあります。

 

1年生は入部当初は負の遺産ともいうべき弱小のメンタリティを知りません。

そして、今回のメソッドによる大改革で起こったルール改正や環境の変化を

「当たり前」と感じながら練習に取り組みます。

この当たり前と思う環境でバリバリ練習すれば、上級生の数年間なんてあっという間に抜いてしまいます。それほどにメンタリティというのは上達スピードを左右します。

 

しかし、何も言わずに1年生ばかりを教えると上級生の強い反発を生んでしまいます。

そこで上級生には

「コーチは1年生を中心に育てる、その1年生に負けないように取り組んでみろ」

と闘争心をあおってください。

また、1年生には

「1年生の何人かは今年のリーグ戦に出てもらう」

と伝え、

「1年以内に上級生は抜けるから信じてついてこい!」

と力強く言い続けてください。

 

このように部内での競争心理をあおって、コーチへの反発になりそうな不満をチーム内の競争という方向にうまく流してあげます。

これをすることで、上級生は負けん気を発揮し、1年生もジャイアントキリングを起こそうと高いモチベーションと向上心で取り組むことができます。

 

ただ、間違いなく1年生の方がいいメンタリティで練習できるので、一部の上級生は抜かれるケースが多いです。実力的に抜かなくても、

一部の上級生と1年生のメンタリティの差

が生まれるのは確実です。

そしてこのメンタリティの差が生まれた時がコーチの出番です。

コーチはここで、メンタリティの差が生む不具合や気持ち悪さを直接部員たちに伝えて喧嘩を誘発させるのです。

 

具体的には、試合後などに

「なんで負けたと思う?」

とか

「試合内容についてどう思う?」

と全員に聞くと良いと思います。

 

このときに、必ずと言っていいほどメンタリティの低い人と高い人の発言にズレが生じます。

例えば、

メンタリティの低い選手は「試合中の細かいミス等」の反省を出すのに対し、

メンタリティの高い選手は「試合までの取り組み方」の反省を出したりします。

 

そこでコーチとして言うべきは、

なんでこんなに考え方に差があるのか?

このズレがどうして生まれるのかもっと全員で話し合え。

と言って、けしかけてください。

 

あとは部員たちが勝手に激論します。

一年生vs上級生という構図になる場合もあれば、上級生vs上級生で自分たちのふがいなさを悔い改める場合もあります。

この「喧嘩からのすり合わせ」がチームを飛躍的に成長させます。

 

ちなみに岩手大学で同様のことをやったときには、1年生は夏の時点で上級生のレベルまで到達していたので、リーグ戦期間中に「上級生のメンタリティが低い」と1年生が上級生を説教するという逆転現象が起きました。上級生のほとんどは「1年生に負けるわけがない」と過信して熱心に練習に取り組んでいなかったのです。まさにウサギとカメの童話と同じです。

最後に

以上5つのメソッドを紹介しましたが、やっていることはメソッド0の大原則で書いた通り、ラクロスの環境づくりをするだけです。

一見簡単そうに思えますが、部員たちだけでは絶対にうまくいきません。

大事なことは、

このメソッドをコーチ自ら率先して行い、部員たちのケツを叩いて叩いてやらせることです。

そうでもしないと弱小チームの弱小体質は変わりません。

 

これを少なくとも1年実施します。

ただこの厳しい指導の1年間は本当に辛いです。教えたいことを教えられないフラストレーションもたまります。

しかしあきらめずに1年間やり続けることです。

1年やり続けたら一番熱心に教えた1年生や高いメンタリティを持つ上級生たちが成長して、下の世代を引っ張っていってくれます。そうなったときにメンタリティの低い選手が徐々に淘汰されて、自然とメンタリティの高い部員が多く残るようになります。

コーチ一人でやっていたことを部員が一緒になってやるようになるので、これが実現した時に、強豪チームに近い練習環境ができあがるのです。

 

岩手大学で同様のことを行ったときは、1年間苦しみましたが、 僕を慕ってくれる部員や一緒にコーチをしてくれた中田氏のおかげで孤独にならずにやりきることができました。

www.lacrosse-coaching.com


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特に中田氏は僕と考え方が一緒だったので、僕が言ったことを中田氏が同じように伝えてくれるだけで説得力が高まりました。2人のコーチが同じことを言うのなら間違いないんだろうと部員たちも信用してくれました。

もし今指導しているチームに複数のコーチがいるのであればコーチ間の意思疎通はしっかり図っていたほうがいいです。これだけで本当に指導がラクになります。

 

今回は弱小チーム向けのメソッドになりますが、僕自身、指導者として10年やってきて強豪、中堅、弱小と幅広くチームを見てきました。今後はその様々なレベル向けに効果のあった指導方法などをお伝えできればと思っています。

 

*1:もちろんすべてのチームに当てはまるわけではないですが全国のチームのレベルを見た僕の主観です

*2:2018年度の東北地区の大学の順位をもとに並べました

*3:メンター制度とは、学年バラバラのグループを作り、先輩が後輩にラクロス技術や生活面のサポートを行う制度です